2017年6月26日月曜日

リュウゴクが誘う東京巡り

 今回は、書肆ゲンシシャ店主リュウゴクが、東京のおすすめスポットをご紹介いたします。
 全部回れば、東京に居ながらゲンシシャの雰囲気を味わえるかもしれません。
 十年間過ごした中で、特に記憶に残るスポットを紹介いたします。

〈神保町〉
かげろう文庫・・・高山宏ファンの耳ピアスが特徴的な店主佐藤龍が経営するマニアックな古書店。
           江戸時代以前の稀覯本、解剖学、幻想文学、奇形、西洋絵画など幅広い視覚的           な本を網羅しています。高価な商品が多いので手持ちのお金は多めで。

虔十書林・・・詩を主に扱うが、画集など豊富な品ぞろえで、澁澤龍彦らの直筆原稿も扱う。雑誌の         バックナンバーがよく揃えてあって、映画関係の貴重な資料もある。やまだ紫が描い         たシンボルマークの猫がかわいい。やまだ紫ほかの原画も所蔵する。

くだん書房・・・少女漫画専門の古書店。貸本漫画から現在までの稀少な少女漫画の単行本、雑誌          を扱っている。近くにある米沢嘉博記念図書館の方たちもよく訪れる、研究者にも          好まれる通な品揃え。入り口がわかりにくく要注意。

 他に、古本屋だと、小宮山書店(本全般)、アットワンダー(サブカル全般)、源喜堂書店(美術全般)、魚山堂書店(写真)、秦川堂書店(古写真ほか資料)、田村書店(洋書)、羊頭書房(SF・幻想文学)あたりがおすすめ。掘り出し物を狙うなら澤口書店(本全般)が意外に良い。

神保町画廊・・・アンダーグラウンドな写真などを展示する。ぜひ本を買う前、荷物が軽いあいだに          立ち寄りたい。

〈銀座〉
青木画廊・・・幻想系のギャラリー。老舗であり、幻想絵画の大御所たちの個展を相次いで開催し          ている。上の階にある藤野一友の絵はぜひ見ていただきたい。寺山修司らの稀覯          本も定価で購入できる。

スパンアートギャラリー・・・種村季弘の息子、種村品麻が運営するその筋では有名なギャラリー。                 幻想的、エログロな作品を展示している。丸尾末広、高橋葉介のサイン                 本や版画も販売しています。

ヴァニラ画廊・・・アンダーグラウンドな作品を展示、販売している。古書コーナーも充実しているの           で見逃せない。地下にあり、入り口を見つけるのが難しい。漫画家の原画展も多           く開催しています。

 他に、画廊だと、東京画廊(中国系)、南天子画廊、 資生堂ギャラリー、メゾンエルメスなどは外せない。
 本屋は森岡書店など。

〈浅草橋〉
パラボリカ・ビス・・・旧ペヨトル工房の人が経営している画廊。球体関節人形やガロ系の漫画家の             原画展などを開催している。サイン本も多く取り扱っているので売店にも立ち             寄りたい。

〈初台〉
ザロフ・・・カクテルや珈琲が美味しいお店。二階のギャラリースペースで幻想系の作家たちの作品       を展示、販売している。有名人がよく一階で珈琲を飲んでいるのでお友達になるといい       ことがあるかも。

〈西日暮里〉
どどいつ文庫・・・マンションの一室(店主の自室?)が店舗になっている、奇妙奇天烈な写真集や
           画集を扱っている。洋書などAmazonより安く手に入る。入手経路は不明。店主と           ガロ系などの話をするのも楽しい。ブログが秀逸なので見て欲しい。

〈駒場東大前〉
万力のある家・・・元ガロの編集者、権藤晋こと高野慎三が経営する北冬書房の本拠地。ガロ系の           本拠地でもある。絶版になっているガロ系の漫画など新品で手に入る。もちろん           店主と往年のガロについて語り合うのもよい。

〈本郷〉
アルカディア書房・・・予約制の古書店。相場よりやや高いが、古今東西の美術書が揃っている。室              内にぎっしりと本が積まれているので、博物館に来たような感覚になる。学               術関係の利用も多い。店主も博識で情報交換ができる。

〈表参道〉
ビリケンギャラリー・・・ガロ系の漫画家たちの原画展、サイン会などを相次いで催している。店内に              は他では見られない宇野亜喜良などの絵本が販売されている。懐かしい怪              獣のフィギュアなども置かれている。

RAT HOLE GALLERY・・・荒木経惟をはじめとする写真や、現代アートを展示するギャラリー。往年                の名作写真集の復刻版なども精力的に出版している。洗練されたガラス                張りの室内に展示している。

古書日月堂・・・元セゾングループで働いていた女性店主が経営する古書店。一次資料を豊富に           取り揃えており、ファッションとアートに強い。視覚文化関係の資料を豊富に揃え、
          著名人が研究のためにそれらを買い求めていく。 

中村書店・・・詩集を豊富に取り揃えた古書店。店主も博識で話していて飽きない。良書が揃ってお         り、特に奥のショーケースの中には稀覯本が集まっている。サイン本も数多くある。         青山学院大学の前に位置する。

〈恵比寿〉
LIBRAIRIE6/シス書店・・・自身も写真を撮っていた佐々木聖さんが運営しているギャラリー。シュル                 レアリスム系の作家を多く扱っている。場所が移転してから広くなり、古                 書も貴重なものが揃っているので確認しておきたい。

NADiff A/P/A/R/T・・・美術系の洋書を探すならここをおいて他にない。地下の展示室に合わせた              トークイベントも充実している。上の階にあるMEMなどのギャラリーも合わせ              てチェックしておくとなおよし。

〈新宿御苑前〉
蒼穹舎・・・往年の写真集の出版社。新人、大御所問わず良質な写真集を出版し続けている。店内       ではそれらをサイン入りで購入できる。隣りにある展示スペースも見ておくべき。過去の       稀覯本も扱っている。

Place M・・・写真専門のギャラリー。蒼穹舎に行くならここにも立ち寄りたい。過去の名作から新人        の作品まで幅広く展示している。写真集も精力的に出版しており、そちらもチェックし         ておきたい。

〈田町〉
Photo Gallery International・・・海外にも通用するだろう日本の写真家および海外の写真家の展示                    を精力的に行っている。写真集もここでしか買えないようなものが                    多い。店主もその道では実力者なので交流していこう。

〈九段下〉
成山画廊・・・松井冬子などを扱う、注目されるギャラリー。性を扱った作品も多い。店主の成山明          光はフリークスなどの古写真のコレクターとしても知られており、話してみると面白          い。 澁澤龍彦関連の資料も所蔵している。

〈森下〉
古書ドリス・・・幻想系の古本屋。 シュルレアリスム、奇形、エログロ関係の書籍も充実している。球
         体関節人形などの展示も積極的に行っている。ライトな雰囲気の店内に重厚な内容         の本が充実しています。

〈外苑前〉
ときの忘れもの・・・往年のシュルレアリスムなどの名作を扱うギャラリー。コレクターたちが手放し             たアート作品をオークションにかけることもある。店主も人脈が広い方なのでぜ            ひ交流を深めていきたい。

〈渋谷〉
アツコバルー・・・海外の新進気鋭のアーティストたちを紹介するギャラリー。最先端のアートにふ            れられる。性をテーマにした作品を多く扱っているのが特徴で、挑戦的、意欲的            な展示をドリンクを飲みながら鑑賞、購入できる。

ポスターハリスギャラリー・・・寺山修司と宇野亜喜良を軸に展覧会を開催しているギャラリー。グッ                   ズが豊富にあるので売店に立ち寄りたい。中堅のエログロ作家の                    作品も多く取り扱っています。

文化村ギャラリー・・・よく前述のスパンアートギャラリー関係の作家たちが展示している。幻想系の
              作品が意外と多く展示されているのでチェックしておきたい。アート作品の
              セールも行っており、中には手頃な価格のものもある。

東塔堂・・・代官山のほうに歩いていく途中にあるアート系古書店。絵画、写真、彫刻、建築など
       バランスよく取り揃えている。ギャラリーが併設されており若手作家の個展を開催して        いる。お得なポイントカードもある。

〈新宿〉
KEN NAKAHASHI・・・新しい「性」をテーマにするアーティストたちを紹介するギャラリー。アンダー
              グラウンド、エログロなどを鮮やかに綺麗に描き出す作家たちを集めてい
              る。古いビルの一室にあるので地図を片手に訪れたい。

模索舎・・・他では見られないような左翼系の雑誌、資料が充実した書店。公安に目をつけられて        いるらしい。サブカル系の本のサイン本も多く扱っている。店のたたずまい自体がアン        グラ感にあふれている、今の時代にあって貴重な場所です。 

 photographers' gallery・・・新宿二丁目の片隅に位置する写真専門のギャラリー。北島敬三と、若                  い写真家たちが共同で運営している。若手の写真家たちの作品を見                  に、有名な写真家たちも訪れています。

〈吉祥寺〉
百年・・・トークイベントも活発に開催している古本屋。リトルプレスの出版物が店頭に並べられてい      るほか、奥の美術系の棚も通好みの品揃え。 純文学、古井由吉や小島信夫系統の本       が豊富に揃っている。本当に貴重なものは店員に言って出してもらおう。

トムズボックス・・・宇野亜喜良、スズキコージ、井上洋介らの絵本を展示するギャラリー兼書店。企            画展に合わせて作家たちの原画、版画も頻繁に販売しているので要注目。ほ             かでは見かけない貴重な絵本が並べられています。

〈下北沢〉
古書ビビビ・・・サブカル系の自費出版の漫画、資料本などが所狭しと置かれている古本屋。講談          社文芸文庫が多いのも魅力的。ショーケースの中には高価な写真集などが並べら          れているほか、珍本も無造作に置かれていたりする。

〈代々木八幡〉
SO BOOKS・・・アート系古書店。ここでしか手に入らないリトルプレス、自費出版の写真集を扱って          いる。著名なアーティストからマイナーなものまで幅広く取り揃える。写真のオリジ          ナルプリントも販売している。

〈武蔵小山〉
九曜書房・・・偏屈な店主が経営する変わった古本屋。詩に関連する同人誌や、ここでしか手に入         らない一点ものの資料を数多く所蔵している。思わぬところから思わぬものが出てく         る古本好きにはたまらないお店です。

〈中野〉
海馬・・・・まんだらけのサブカルジャンルの本を扱う部門。カストリ雑誌なども置いていて、写真集       の稀覯本など神保町と比べても遜色ない。たまに掘り出し物があるのも嬉しい。幻想文       学なども多く扱っている。

〈その他〉
 板橋区立美術館、練馬区立美術館、松濤美術館、世田谷美術館、世田谷文学館、ワタリウム美術館などは頻繁に展覧会情報を調べておきたい。タカ・イシイギャラリーや小山登美夫ギャラリー、ミヅマアートギャラリーはいわずもがな。
 赤々舎などはギャラリーを運営されていた頃はよく訪れました。

 ディープなところから有名な場所まで網羅してみました。
 どれも自信を持っておすすめできるところばかりですので、ぜひ一度お立ち寄りくださいませ。