2019年2月5日火曜日

書肆ゲンシシャの次の展開

 平成が終わろうとしている今、書肆ゲンシシャも新しいステージに進化を遂げようとしています。
 かねてより、ゲンシシャは「出版部門」と「カルチャーセンターを開催する場所」を提供したいと考えてきました。
 これについては、別府市内に、車椅子の作家豆塚エリさんの「こんぺき出版」と、若者が集まり様々なイベントを開催するカフェ「喫茶ムムム」があるため、こちらと協力していくことにより、目的はひとまず達成されたと考えています。

 代わりに、ゲンシシャが取り組んでいるのが、別府の情報を共有する方法の構築です。
 これまで、アートならアート界隈、温泉なら温泉界隈、歴史なら歴史界隈、飲食なら飲食界隈、と職業や趣味を通していろいろなコミュニティがそれぞれ固まっており、それら同士の間で交流が生まれにくい、との意見が多数寄せられてきました。
 そこで、そうしたコミュニティをひとつにまとめる方法の構築が、これからの別府を盛り上げていくうえで必要だと考えます。
 現在、暫定的に運営しているのが「別府大分情報機関」です。
Twitter   https://twitter.com/betsudaiorg
Facebook  https://www.facebook.com/betsudaiorg/
 これまで離れ小島だったFacebookのイベント情報を手軽に共有できるサイトにしたいと考えています。加えて、別府の情報を、今は大手新聞社に頼っていますが、ゆくゆくは独自で発表していけたら、と考えています。
 この「別府大分情報機関」の発展により力を注いでいきます。今年は選挙の年でもありますし。

 加えて、今取り組んでいるのが、ゲンシシャの自社製のホームページの構築です。
 これまでゲンシシャは、Twitter、Instagram、Facebookといった大手SNSを通して、情報を発信してきました。けれども、そうした手法をとりつづけるかぎり、その大手SNSの意向により、表現を制限されることが充分考えられるのです。
 そこで、自社製のホームページをつくり、そこにアクセスを集中させることでSNSに頼る割合を減らしていこうと考えています。

 Amazonの「買い取り方式」の採用で、書店はこれからさらなる痛手を受けることが目に見えています。(https://news.yahoo.co.jp/byline/kandatoshiaki/20190204-00113234/)
 従来の流通システムの崩壊と、新しい本のあり方がもっと問われていくでしょう。
 雑誌の販売の不調が言われるように、読み捨てられるような刹那的な情報はネットにすべて吸収され、耐久性があり持続性がある情報だけが紙媒体に残される、と考えています。
 古書業界も、メルカリとヤフオクに圧される状況が進めば、ますますの淘汰は目に見えています。 わざわざ古本屋を通すより、自分で売ったほうが、手間はかかるが利益が出るのですから。

 別府という土地にあるゲンシシャにとって最大のネックは立地です。
 それもネットをより強化することである程度克服できます。
 ますます多くの方々に楽しんでもらえますよう、精進してまいります。

2019年1月25日金曜日

地元民とよそ者

 「あんた、別府の人?」
 別府のいわゆる地元の人たちが、初対面の人間と出会ったときによく口にする言葉だ。
 ここで、別府出身と答えるか、はたまた大分県内の別の場所と答えるか、県外と答えるかで、相手の扱いが変わってくるということが、結構ある。
 別府出身だと答えると、「どこの中学?」 という質問に移る。同じ中学だと知るやいなや、打ち解けた雰囲気を醸し出す。
 ある意味での出身地差別に繋がりかねないやり取りだが、人間は、出身地、学歴、職業などでグループを作りたがるものだから、仕方がない側面もある。

 私には、かつて東京の多摩市で役所の手伝いをしていた時期がある。
 そのとき、多摩市の中でも高級住宅街だと言われる桜ヶ丘のコミュニティの方とお話したとき、「どちらのご出身?」と品の良い婦人から尋ねられた。
 私は「大分県」と応え、もうひとりは「港区」と応えた。すると、次の瞬間から婦人の私たちに対する態度が明らかに変わった。私に対しては、「大分県、おほほ、ずいぶんと遠くから来たものね」と奇異なものでも見るような目で笑いながら言ったのに対し、港区と応えた同僚に対しては、なにかにつけ優遇するようになった。
 東京でも新興住宅地、と言ってもかなり古いが、においてもこうなのだ。

 話を大分に戻す。
 大分の老舗と言われる画廊に知人の画家を連れて行った時のこと。
 大分出身の画家の場合には、将来有望であり、大分の美術界を牽引する人間になって欲しいと褒めた一方、他県出身の画家の場合には、何でまた大分に、とへりくだりながら、よほどいい条件があったのね、と疑うような目つきで見られたのだ。

 もちろんこれが全てではない。
 開かれた人間ももちろんいる。そうした人たちは、主に東京や大阪といった都市圏に長く暮らしていた人たちや、いわゆる地方レベルでリベラルな人たちだ。
 どの業界でも保守と革新は存在する。とは言っても、冒頭のような、「別府の人」かどうかという問いかけが多く交わされていることは確かだ。

 私は別府出身の人間だから、下駄を履かされている。やはり地元民というだけで、守られているということは、いつも意識している。
 先日、大分県内で村八分があったというニュースが世間を賑わせたが、別府はAPUの影響で外国人が多いことから、大分県内では一番よそ者に寛容な町だと、これは間違いなく胸を張って言えることだ。
 それでもやはり「地元民」と「よそ者」は区別されてしまう。良いか悪いかではなく、その事実を受け入れた上での展開が求められている。

2019年1月14日月曜日

リュウゴクが気になる全国のユニークな店

 今回は、書肆ゲンシシャ店主が気になる全国のユニークな店をご紹介します。

◎国立奥多摩美術館
東京都青梅市二俣尾5丁目157
https://note.mu/plastic_girl/n/ne08ec223325c
http://rinriko-web.hatenablog.com/entry/2018/02/05/002437

 青梅の軍畑(いくさばた)なる駅にある珍奇なる美術館。現代アートを展示していて、多摩美やムサビの学生が訪れるのだとか。「国立」と名称についているものの、日本国政府とは何ら関係がなく、アーティストたちが運営しています。館長は都内でトークイベントなどを開催しています。

◎写真集食堂めぐたま
東京都渋谷区東3丁目2−7
http://megutama.com/

 恵比寿にある写真評論家の飯沢耕太郎さんが携わっている食堂で、5000冊を超える写真集を閲覧できます。 食だけではなく写真を堪能できる場所です。写真にまつわるトークイベントも定期開催中。

◎まぼろし博覧会
静岡県伊東市富戸1310−1
http://maboroshi.pandora.nu/

「キモ可愛いをコンセプトにアホとボケの楽園を目指します」というキャッチコピーで広がるカオスな空間。かなり広く、まわるのに一時間以上かかることも。「怪しい少年少女博物館」もぜひご一緒にお楽しみください。

◎特殊書店ビブリオマニア
愛知県名古屋市中区栄4-14-16 ミワビル2階
https://bibliomania-books.com/

 養老孟司の『バカの壁』で壁を作ってしまう離れ業をしているアングラ書店。賑わっている場所から辺鄙な場所にわざわざ移転するというアングラ精神を貫く女性店主が経営しています。アーティストの個展も開催中。

◎キワマリ荘
愛知県犬山市西古券68
http://www.kiwamari.net/

  絵葉書の書き込みに注目して展示を行うなど、ディープな展示とトークイベントを開催しています。2Fのギャラリーには「廃墟部屋」なるものが存在し、築100年の趣あるスペースを借りることができます。
 「水戸のキワマリ荘」もあり、水戸芸術館の関係者が足繁く通う場所になっています。

◎カオスの間
京都府京都市東山区石泉院町394-2F
https://syasin.biz/tinspo/chaosnoma/

 マネキンや遊郭関係、時計の歯車などジャンクな品を蒐め、売る骨董屋。美大生が多く訪れるらしい。 店主もかなり不思議な方と聞きます。ノイズ・ミュージックが流れる異次元をご堪能ください。

◎舞妓骨董店
京都府京都市東山区小松町157
http://soratoutao.web.fc2.com/maiko_antiques/index.html

「京都祇園。ちょっと不思議な世界に迷い込んでみませんか。」というなんともそそられるキャッチコピーで展開されています。外国人が多く訪れる日本文化を発信する場所です。古写真や絵葉書も取り扱っており、死体などグロテスクなものもあるようです。

◎クシノテラス 
広島県福山市花園町2丁目5-20 2F
http://kushiterra.com/

 日本唯一のアウトサイダー・キュレーター櫛野展正によるギャラリーで、死刑囚が描いた絵など、ユニークな展示を開催しています。ヤンキーや障害者、独居老人に光を当てる意欲的な試みをされているところです。

◎不思議博物館
福岡県那珂川町西畑 811-1246, 1466−2
https://bu9t-sm.wixsite.com/html

 毎月一日しか開いていませんが、造形作家の館長によるカオスな空間を満喫できます。街から離れた場所にありますが、分館である天神の「サナトリウム」が行きやすいところにあります。首輪をつけた女の子の写真展や、古い標本など、個性的な展示をしています。

◎三角エコビレッジ サイハテ
熊本県宇城市 三角町1901-17
http://village.saihate.com/

 かつてヒッピーが暮らす「サイハテ村」として取り上げられたこともあるエコビレッジで、新しいライフスタイルを提案しています。東日本大震災が発生した年に始められた村づくりプロジェクト。

◎モラトリアム
熊本県熊本市中央区河原町 2番地 旧繊維問屋街通路内 
https://y-ta.net/kumamoto-moratorium4/

「画と雑貨と珍品の店」というテーマでアーティストにより運営されているお店。所狭しと様々な品物が置かれたカオスな空間をお楽しみください。


 お近くの方も、そうでない方も、ぜひ一度おとずれてみてください。

2019年1月6日日曜日

平成を振り返りその先へ~ある都市の今までとこれから

 昨年末、大分のローカルな新聞、大分合同新聞に平成を振り返るコラムが掲載されていました。その中で、平成元年における大分県内の有力企業は、ベスト3では大分の地元の企業が占めていたものの、平成30年においては、ダイハツやキヤノンの子会社が占めるようになった旨が綴られていました。
 東京や大阪の大企業の子会社が有力になり、大分に本社を置く企業が力を失っている。このことは友人を見渡してみても一目瞭然、裕福な暮らしをしているのは大企業の大分支社に勤めている方たち、かたや地元資本の会社に勤めている方たちは、いつ倒産するか、戦々恐々としています。

 5年ほど前までは別府の百貨店トキハでも、ロレックスの取扱があった。それが、今では大分の百貨店からも撤退している。そして、まもなくルイ・ヴィトンも撤退することが決まっています。高級ブランドが軒並み不調なのは、不景気だからというだけではなく、そうした商品を買いに、大分県在住者が福岡まで行ってしまうからです。
 大分県から福岡県までソニックという特急電車や、高速バスが出ており、大分から買い物に福岡まで出かけることも珍しくなくなりました。
 別府市内では、山側の新興住宅地で高齢化が進み、駅前の新しく建った高層マンションに相次いで高齢者が移り住む事例が増えています。車を運転できないお年寄りにとって、駅前の環境は、起伏が多い郊外より好都合なのです。東京で都心回帰が言われているのと同じことです。
 別府郊外から、別府駅前へ、という場合に加え、大分駅前、福岡と、より便利な居住地を求めて移住される方も見受けられます。人口減少が続くなか、都会に人が集中することはもはや自然の理、やむを得ないことと思います。

 そうして空洞化が進んだ別府の空き家に、都会では経済的な理由などで住めなくなったアーティストやミュージシャンたちが移り住んできています。今では絶滅したかに見えたヒッピーたちも、福島の原発事故から逃れ、別府を拠点に活動しています。

 それが今度は、インターコンチネンタルや星野リゾートを始めとする高級ホテルの建設が始まり、じわじわと再開発が進み始めました。別府市内には戦時中に空襲を受けなかったために戦前の遊郭が多く残されています。それを面白がってアーティストが利用していたのですが、取り壊し、新しい建物を作ろうという動きがより活発になってきています。道路の拡張工事や再開発を歓迎する人々もいますが、アーティストたちは反対し、食い止めようとしています。
 思えば、「アートでまちおこし」は過渡期のものでした。大手資本が高級化や再開発を進めていくと、結局、「アートでまちおこし」はどこへやら、別府もまた中規模の都市として、日常へと還っていくのです。そもそも別府で「アートでまちおこし」が行われていたことを知っている人自体が少数派なのですが。
 平成最後の年は、そうしたうねりの中で進んでいくと思います。バブル崩壊から、空洞化、まちおこし、そして、次には大手資本による再開発。
 まちおこしとは結局なんだったのか。役所が予算を使うために行った一過性のものでしかなかったのか。せめて何か残るものがあればいい。うねりの中で、実を結ぶ一年にしたいと強く誓います。

2018年12月25日火曜日

書肆ゲンシシャ、3度目の年末~別府で活動するメリットとデメリット


 書肆ゲンシシャをはじめて三年が経ちました。
 今回は、別府において活動する上でのメリットとデメリットを書きます。

メリット
    コストが安い
食費、住居費などあらゆる面で都会で活動するより安上がりで済みます。
    人脈を作りやすい
人口12万人ほどの小さな町で、おまけに人口密度大分県1位なので、主要な方々とすぐ「お友達」になれます。
    人が少ない
私のように一人で居ることが好きな人間には、1時間町を徘徊して誰とも会わないこともあるこの町はある意味オアシスです。
    チャンスが多い
とにかく人材が不足しているので、多少なりとも目立つと仕事が次々に舞い込んできます。都会が大企業だとすれば、田舎は中小企業です。
    観光地である
観光地であり、さらに「アートで町おこし」を実践している別府は、人口12万人都市にしては、都会からの集客が見込め、アートに対する関心も高い。
    立命館アジア太平洋大学(APU)の存在
人口12万人都市でありながら、3500人の外国人を擁し、国際化が進んでいます。
    食事が美味しい
海の幸が格安で手に入るうえ、観光地であるため、外食産業のレベルが高い。

デメリット
1 交通の便がわるい
  大分空港からバスが出ているものの時間がかかり、新幹線もないため、東京方面からの交通は不便。ただし、大阪からはフェリーがあります。
2 仕入れが難しい
  大分県内では稀覯本の類は稀であり、都会にまで仕入れに行かなければなりません。本人の交通費のほか、本の輸送費もかかります。
3 需要が少ない
  人口が少なく、ニッチな需要が少ないため、都会からの客頼みになってしまいます。
4 しがらみが多い
  町の主要メンバーがほとんど知り合いなので、派手な活動はしにくい。
5 高齢者が多い
  40代の人物でも「若者」と呼ばれてしまうほど高齢化が進み、価値観の固定化も進んでいます。新しいものを受け入れる余裕がほしい。
6 施設が古い
  公共施設やマンションの老朽化が進み、和式便所のところもいまだに多い。全体的に清潔感がない。
7 共通の話ができる友達が少ない
  高齢者が多く、ただでさえ若者が少ない中、同じ趣味に通じている層は本当に限られています。

 田舎というのは良くも悪くも、「飛び抜けた存在がいないところ」です。高校時代の優等生が都会に行って落ちこぼれるのはよくある話で、才能についても同等の人間が集まるものですし、金銭に関しても飛び抜けた富裕層はいないのです。文化についても、いわゆるテレビを中心にした「普通」の文化が強く根付いているゆえ、アニッシュ・カプーアなんていう先端かつニッチなキーワードには興味を示しません。良くも悪くもみな「大衆」なのです。それが居心地がよいところでもあるし、強い克己心がなければ、都会と同レベルの活動を継続していくことは難しいのです。 
 そのことを己の肝に銘じて、これからも都会からの集客が見込めるゲンシシャであり続けたいと強く思います。

 このことはまた別の機会に改めて書こうと思いますが、やはり田舎にいると入ってくる情報量が、SNSなどを駆使してすら、少なくなってしまいます。人と直接話して入ってくる情報、街の街頭テレビのコマーシャルを始め、最先端の文化に接し続けることが、努力をしていない限り、田舎では困難なのです。今の時代、最大の武器は情報です。これは間違いない。ゆえに、取りこぼしがないよう、常にあらゆる方面に探りを入れています。

 今後とも何卒よろしくお願いいたします。

2018年12月17日月曜日

別府というカオスな町

 前回、12/6でアニッシュ・カプーアの「スカイミラー」が撤去されると書きましたが、その日にはブルーシートで梱包され、来年のラグビーワールドカップの時期に再公開されるそうです。また、来年の桜開花時期にも公開することを検討していますが、協議中なので決定事項ではありません。
 ブルーシートによる梱包は、警備員を立たせる人件費を節約するためです。今回「スカイミラー」は、レンタルという形で別府公園に設置しており、万一傷がついた場合、責任問題に発展するため、24時間体制で警備員に見張らせておく必要がありました。

 さて、今回は、別府のカオスなところを取り上げていきます。
 湯の町別府には、よそでは考えられないようなカオスな日常が流れています。別府の人には当たり前、けれども他の土地の人から見れば奇異にうつることがたくさんあるのです。

①商店街にソープがある
  別府の駅前の商店街は、自動車の普及と共に郊外化が進む中で、廃れてしまっているのですが、廃墟好きにはある種たまらない場所になっています。中でも特徴的なのが、シャッター街になった商店街のはずれに行くと、煌々と輝く店があり、看板をみてみるとソープなのです。
 別府は、竹瓦温泉のあたりがソープ街になっており、六本木などから不人気のため飛ばされてきたソープ嬢が働いています。そもそもこのソープ街も、商店街の目と鼻の先にあるのです。
 そして、このソープに、車椅子の男性が行列をつくっていることもあります。
 「南映」という成人向け映画館も存続していて、子供たちが通う路に裸の女性のポスターが貼られていたり。別府は、性と障がい者にやさしい町なのです。

②川にグッピーがいる
 別府の河川には、あちこちから温泉が流れ込んでいます。側溝から湯気がたちのぼっている風景ももはや日常です。そのため、川に熱帯魚のグッピーが生息しているのです。たとえば、春木川は、水温が一年の平均で21℃もあります。
 子供たちが川でグッピーをつかまえて遊ぶ、なんていうのも別府ならではの光景です。

③日本語が通じない場所が多い
 別府には立命館アジア太平洋大学(APU)があり、在学生の半数が外国人です。APUの特徴として、日本人は日本人、外国人は外国人でかたまる傾向があり、さらに外国人向けで英語で講義をおこなう授業もあるものですから、日本に留学に来たけれど日本語は話せないという外国人学生が多くいます。さらに、別府市内には外国人が経営している飲食店や企業が、人口10万人の都市にしては多いものですから、そうした場所でバイトをしていると、日本語を覚える必要がないのです。
 さらに、別府の観光客は、多くが中国人と韓国人で、彼らが英語で話すものですから、英語が公用語といってもおかしくはないのです。
 カフェに行ってドリンクを注文するにも、英語で、という場合があります。
 日本にいながら日本ではない、不思議な空間です。それでいて外国にまったく興味がないお年寄りもいて、まさに混沌としています。

 初回なので、今回はこのくらいにしますが、いつかまとめられたら、と考えています。ファッショセンターしまむらと100円ショップが入居する「百貨店」トキハ別府店や、入場料が100円の別府市美術館、50万円で土地付きで売られている一戸建て、うどんとカツ丼が看板メニューの「洋食屋」、全ての本が100円もしくは50円の激安古本屋、贋作と作者不詳の作品ばかりを並べている美術館、朝から裸に風呂桶をもって公営温泉に入りに行く老人たちなど、考え始めたらきりがないほど、別府をカオスと言うだけの材料が揃っています。
 今回はひとまずこのへんで。

2018年11月30日金曜日

「アニッシュ・カプーア IN 別府」会期終了~まとめ~

 「アニッシュ・カプーア IN 別府」の会期がついに終了しました。
 最終日11/25(日)には、スカイミラーの前で、ボランティアを中心に記念撮影が行われました。
 終了後、発表された累計来場者数は55000人。事前に提出された6万人には届かなかったものの、去年の西野達が1万人ちょっとだったことを考えると、ものすごい成功のように見えます。
 この累計来場者数は、有料で鑑賞するギャラリーと、無料で鑑賞できるスカイミラーの鑑賞者を合わせた数字です。有料で鑑賞したお客様は、三連休前、11/22(木)時点で5000人でした。いかにスカイミラーだけを見に来た客が多かったかが分かります。とは言え、最終日11/25(日)には、なんと一日で896人が有料スペースに来場したそうで、大盛況でした。最終的には7000人くらいになっているのではないでしょうか。

 正直言って、10月はさっぱりでした。初日(10/6)からの三連休を除いては、有料スペースの来場者数が一日60人(平日の場合)、無料のスカイミラーですら人がまばらでした。
 状況が変わったのは、11/4(日)に「日曜美術館」で特集されてからです。NHKの発信力の凄まじさをあらためて実感します。それまでも『美術手帖』や『アートコレクターズ』で大々的な宣伝をし、『POPEYE』など、美術系以外の雑誌にも露出したものの、多くの来場者が訪れるには至りませんでした。それを考えると、テレビの力は、少なくとも大分に限っては、いまだ絶大ということです。
 最後の三連休にも、NHK大分で取り上げられ、それが少なからず効果を及ぼしました。ちなみに、最後の三連休には、別府市内でMr.Childrenのライブがあり、その会場が「アニッシュ・カプーア IN 別府」の目と鼻の先だったことから、かなりの客が流れてきたことを指摘されています。
 客層は、高齢者とファミリー層が多かったです。ここからも、やはりテレビの影響力を推測できます。北海道から沖縄まで、またイギリスやオーストラリアからも来場者を集めました。

 スカイミラーはじめ、「アニッシュ・カプーア IN 別府」の展示物は、12/6(木)に撤去されるそうです。常設展示の噂もありますが、スカイミラーだけで7億円の価値があり、加えて常時見張りとして警備員を立たせていることなど維持費を考えると現実的ではないでしょう。もちろんわたしとしては残してほしいのですが。

 農業祭の客で展示会場があふれたり、様々なことがありましたが、ひとまずの「成功」といったところでしょうか。
 けれども、別府市民に尋ねると、今回の別府公園の展示があったことを知らない方が多く、また国民文化祭自体を知らない人がまだ多数派なのです。
 スカイミラーの常設展示の署名を集めるときにも、賛意を示したのはほとんど別府市外の方たちでした。これだけの成果をあげても、まだ別府市民とアートとの間には意識差がある、その事実は否めません。
 東京、大阪、福岡という都市圏からの来場者がどうしても多くなってしまう。このジレンマを解消できる日が果たして来るのか。
 国民文化祭で予算を使い果たした行政が、来年また魅力的なイベントを開催できるのか。
 正念場はこれからです。

※追記…今回の展示で最大の「失敗」は、アニッシュ・カプーア自身が来日しなかったことです。