2018年6月16日土曜日

別府における「アート」と「美術」

 別府は、アートで町おこしをしています。
 けれども、ここでいう、「アート」とは、ひとつのかたまりではないのです。
 それについて今回はお話しましょう。

 この「アート」は、現代アート、主に若手の作家たちを育成する、または他県から呼び寄せるものです。清島アパートというアーティストレジデンスが下町エリアに存在し、若者たちや、ちょっとしたアウトサイダー的な人々が集まるコミュニティを形成しています。
 バイトで生計を立てるもの、派遣社員として過ごすもの、非常勤職員として活動している、いわゆる社会的に言えば弱者が集まっています。
 彼らが、県、または市といった自治体の力を背景に、若いパワーを見せているのが、別府における「アート」なのです。

 しかし、ここで厄介なことが起こります。「アート」は、主に移住者たち、大分県出身ではない人たちにより運営されています。
 これに対抗するもう一つの「美術」があるのです。
 それは、長い間別府を拠点に活動してきた、別府出身の画家、写真家、彫刻家、陶芸家たちで構成される団体です。
 彼らは、地の利を生かして、市議会議員や、大病院の院長など、主に高齢の、地元の有力者たちと協力しながら、人脈と豊富な資金源を背景に活動しています。
 そして、この「美術」系の人たちと、「アート」系の人たちは、基本的に交わり合うことはないのです。

 「アート」系の人たちが、参加費無料でパーティーを企画したとしても、集まってくる人数は大したことがないのに、「美術」系の人たちが、参加費7000円のパーティーを企画すると、いわゆる別府の大御所、実力者と呼ばれる人たちが駆けつけてくるのです。

 私自身、前者の、「アート」系のコミュニティに属していて、この格差を目の当たりにしています。
 広げてみれば、世代間の格差でもある、この二つの「アート」系と「美術」系の人たちが果たして交わる機会がこれからあるのか。
 期待を込めて、注目しています。
 そして私自身、二つの架け橋になるよう活動していく所存です。