2019年11月12日火曜日

地域から国家へ

 東京に行ってきました。

 谷原菜摘子@MEM
 ユアサエボシ@Akio Nagasawa Gallery Aoyama
 新宅和音@みうらじろうギャラリー
 濱口真央@デザインフェスタギャラリー
 清水真理@横浜人形の家
 天幕の街@ビリケンギャラリー

 などをめぐりました。
 谷原さんは、画家の松下まり子さんにゴールデン街の「シャドウ」で勧められてから、ぜひ実物を見たくて、今回は良い機会でした。ユアサエボシは漫画家の川勝徳重くんが評価していたことから知りました。友人を介した情報の伝達のあり方について今一度考えてみたく思います。

 ほかに、横浜にて、黄金町バザールを見ました。黄金町の人口は200人ほど。だからこそ出来るアートによる活性化の現場を堪能しました。

 「表現の不自由展・その後」にて、「昭和天皇の肖像を燃やした」 として散々叩かれた大浦信行さんの作品が「ひろしまトリエンナーレ2020」のプレイベントの中で展示されていますが、それほど騒ぎになっていない。これにはやはり、愛知という場所の性質が今回の「炎上」のひとつの理由ではなかったのかと思わされます。それに加え、津田大介さんの熱狂的なアンチが以前から炎上を狙っていたわけですから、「表現の不自由展・その後」は、着火点に過ぎなかったと考えます。
 周辺住民の人口が多ければそれだけ炎上のリスクは高まる。
 別府は愛知ほど大規模ではなく、黄金町ほど小規模ではない。これを中途半端と捉えるか、やりやすいと考えるかは人次第でしょう。もちろん、黄金町には東京に近く、横浜の中にあるという利点もあります。

 日本とオーストリアの国交150年記念事業としてウィーンで開催された芸術展において、日本政府側の公認が撤回された問題がまた世間を騒がせています。

「場」を変える 地域アートへ【コラム】

 この記事の中で、

「一方、文化庁の文化審議会委員を務める山出さんには危機感もにじむ。「地域の芸術祭の時代はピークを越えた。平成の終わりとともに様変わりする」
政府は東京五輪がある20年に、日本人の美意識や価値観を国内外にアピールする「日本博」を実施しようと準備を進める。地方創生名目などで国が設けてきた芸術関連の補助金が削られて、地域の芸術祭やアートプロジェクトの運営は困難になり、「国家にフォーカスされようとしている」と山出さんはみる。」


 と、「BEPPU PROJECT」の山出淳也代表のコメントが寄せられていますが、まさにその通りで、一連の流れは、地域から国家へと文化政策の基軸が移ってきたことを示す現象なのではないかと思います。

 11/10にアニッシュ・カプーア「スカイミラー」の展示が終わり、撤去作業に入りましたが、これが最後の打ち上げ花火にならないことを祈ります。

  たとえ地域アートが終焉しようとも、優れたアーティストという遺産をのこすことが責務であると痛感します。