2018年3月10日土曜日

別府市の概況

 今回は、別府市役所などが発表しているデータをもとに、ゲンシシャが位置する別府市について、今一度俯瞰してみます。
 実際に別府市で生活する上でのデータを記しておきます。

 最初に、別府市民はいかなる場所で働いているのか。
 別府市のデータによると、最も多いのが、飲食業。次に、宿泊業、小売業ときて、医療系、建設業の順番になっています。
  観光都市・別府では、飲食とホテルで生計を立てている人が多く、また土産物の売店で働いている方たちが多くなっています。
 また、別府は湯治が盛んな町であり、病院が多く、医療関係者が多いことも特徴です。
 農業や漁業を営んでいる方はほとんど居なくて、サービス業が大多数を占めています。

 次に、別府市民の平均年収は、210万円。
 大分県内では、平均年収350万円の津久見市や中津市より少なく、国東市に次いで二番目の低さです。

  別府市の人口は、大分県内で減少する数が最も大きく、高齢者の死亡者数、転出者数ともに高い水準で推移しています。今は12万人いますが、2040年には10万人前後まで減少することが見込まれています。

 別府大学と立命館アジア太平洋大学があるおかげで、20代の人口が多くなっているのが特徴です。一方で、10代、30代などは日本の平均より少なくなっており、60代以上の人口が多くなっています。また、両大学の影響で、外国人の居住者数も多くなっています。ですが、近年では減少傾向にあるようです。特に、中国、韓国系の方が多く暮らしています。

 生活保護者の割合は、大分県内で最も多く、生活保護費の負担などで他の自治体より住民税は多く取られるようになっています。先日、パチンコをしている生活保護者を別府市が取り締まったことが大きな問題になりましたが、その裏には市民の不満がありました。

 1ヶ月の観光客数は70万人ほどで、日帰り客が70%を占めており、残りの方が宿泊されていきます。大分県外では、福岡県から来られる方が多くなっています。

 今回はデータをもとに書いたので、いささか単調になりましたが、整理するためにも書き留めておきます。

2018年3月5日月曜日

別府の人はどこにいる?

 ある一日の書肆ゲンシシャの来客数は20人。うち17人が別府市外の人でした。
 のこりは大分市や、福岡、大阪、東京の方たちでした。
 ゲンシシャが抱えている悩みがこの「別府市外のお客様が多い」という事実なのです。ところで、他の団体や店に聞いてみても、同じような答えが返ってきます。
 たとえば、別府市内で行われていたアートイベント「混浴温泉世界」では、来場者の半数以上が県外の方で、別府市内の方は殆どいらっしゃいませんでした。
 今でも開催している「混浴温泉世界」の縮小版「ベップ・アート・マンス」でも、やはり半分以上が別府市外の方です。
 あくまで私の実体験としてですが、別府市に住まわれている方より、大分市に住んでいる方のほうが、こうしたアートイベントのことを知っているのです。
 これらのアートイベントは別府の「町おこし」のために行われていますが、別府市民とは異なる軸で実施されているのです。
 また、ゲンシシャでは、読書会や朗読会、芸術祭などを定期的に開催しているのですが、こちらの参加者も大分市の方の割合が多くなっています。

 単純に大分市のほうが人口が多いから、大分市や県外の来場者が多いのだろう、ともよく言われますが、せっかく別府でやっているのに、別府市民を巻き込めないのも、なんだかもどかしいものがあります。

 別府は観光地なので、飲食店も別府市民を相手にしたものより観光客を相手にしたほうが儲かります。なぜなら別府市民の平均年収は250万円ほどで、所得が他所の人のほうが多いから、さらに、別府市民は高齢者と生活保護者の割合が大きく、若者や裕福な人が少ない、となんとも悲しい理由があります。

 私の親戚が別府に住んでいますが、生活で精一杯で、休日はファミレスやスーパーで済ます、という、いわゆるマイルドヤンキー型の過ごし方をしています。また地元の若者に娯楽を聞いて見ると、パチンコやゲームセンターと答える人が圧倒的なのです。
 そもそもそのような土地で、「アートの町」別府を実現しようとする町おこしの人々は、いわゆる意識高い系として、別府市民から浮いた存在になっているのが現状なのです。
 去年の別府市長が主導して開催した「湯~園地」ですら、そもそも入園料が高く別府市民は払えなかったため、県外のお客がほとんどでした。別府市民はボランティアとして、アシスタントを務めるかわりに無料で園内に入場したのです。

 そうした地元との乖離がなんとももどかしい。別府市美術館や図書館に関しても、立派なものに建て替えようとする別府市側と、そもそも税金の無駄だから廃止にしてしまえという別府市民側の意見が対立しているのです。

 いかにして別府市民を巻き込むか、というのは長年の課題でした。いまだ結論は出ていないですが、私自身、別府市に住む人間のひとりとして、まずは周りの人々に呼びかけています。