2019年6月1日土曜日

文化と食が手を結ぶ~食の大切さ

 大分駅前に「大分オーパ」が2019/6/1にオープンしました。
 「食のテーマパーク」を謳い、四階あるフロアのほとんどが飲食店、もしくは生鮮食品売り場という施設になりました。
  以前オーパがあった場所で運営された「フォーラス」には、ジュンク堂書店や、ゴスロリ系の衣料品店、タワーレコード、ヴィレッジヴァンガードなどが入居していました。そうした小売店を軒並み閉店させ、すべて食品関係の店になったのです。
 大分や別府でいろいろな業界を見てきましたが、今は本当に物が売れない時代です。本屋もブックカフェ、 画廊でも飲食店を兼ねているところが出てきて、食事を提供することの大切さを痛感します。
 イベントでも、アートイベントなど開催しても、芸術関係の集客はいまいち、ただ食品はあっという間に完売するという光景を何度も見てきました。
 私も旧来の神保町スタイルの硬派な古書店を愛してきましたが、地方都市においては、ことさら食事を提供しないとやっていけないと日に日に感じております。
 別府在住のアーティストの中でも、まず地域に溶け込もうとすると、軽食を出したり、カフェを開いたりする姿が多く見受けられます。「アートでまちおこし」の真髄は、アートをコミュニケーション・ツールと見て、地域住民と交流を図り、心を豊かにしていくことなのですが、いきなりハードなアートを披露してもなんだそれはと首を傾げられるばかりで、そうやって飲食を提供していかなければ共存は難しいというのが現状です。
 これからネット通販などの普及が進んでいく中で、ますます町を見渡せば飲食店ばかり、という傾向が強まっていきます。
 東京に出向いて、硬派な文化施設が多いことにびっくりしました。飲食に頼らずに経営できている(のかはわからないですが)施設が成り立つ、それこそが都会の条件といっても過言ではない、そんな気すらしてきます。
 大学も新しい食料品をプロデュースする時代です。別府大学では、大分の地産品を使って新商品を生み出し、存在をアピールしています。
 文化が文化だけでは立ち行かなくなる時代。食や住と手を結んで生き残りをかけていく動きがますます強まっていくでしょう。