2018年11月30日金曜日

「アニッシュ・カプーア IN 別府」会期終了~まとめ~

 「アニッシュ・カプーア IN 別府」の会期がついに終了しました。
 最終日11/25(日)には、スカイミラーの前で、ボランティアを中心に記念撮影が行われました。
 終了後、発表された累計来場者数は55000人。事前に提出された6万人には届かなかったものの、去年の西野達が1万人ちょっとだったことを考えると、ものすごい成功のように見えます。
 この累計来場者数は、有料で鑑賞するギャラリーと、無料で鑑賞できるスカイミラーの鑑賞者を合わせた数字です。有料で鑑賞したお客様は、三連休前、11/22(木)時点で5000人でした。いかにスカイミラーだけを見に来た客が多かったかが分かります。とは言え、最終日11/25(日)には、なんと一日で896人が有料スペースに来場したそうで、大盛況でした。最終的には7000人くらいになっているのではないでしょうか。

 正直言って、10月はさっぱりでした。初日(10/6)からの三連休を除いては、有料スペースの来場者数が一日60人(平日の場合)、無料のスカイミラーですら人がまばらでした。
 状況が変わったのは、11/4(日)に「日曜美術館」で特集されてからです。NHKの発信力の凄まじさをあらためて実感します。それまでも『美術手帖』や『アートコレクターズ』で大々的な宣伝をし、『POPEYE』など、美術系以外の雑誌にも露出したものの、多くの来場者が訪れるには至りませんでした。それを考えると、テレビの力は、少なくとも大分に限っては、いまだ絶大ということです。
 最後の三連休にも、NHK大分で取り上げられ、それが少なからず効果を及ぼしました。ちなみに、最後の三連休には、別府市内でMr.Childrenのライブがあり、その会場が「アニッシュ・カプーア IN 別府」の目と鼻の先だったことから、かなりの客が流れてきたことを指摘されています。
 客層は、高齢者とファミリー層が多かったです。ここからも、やはりテレビの影響力を推測できます。北海道から沖縄まで、またイギリスやオーストラリアからも来場者を集めました。

 スカイミラーはじめ、「アニッシュ・カプーア IN 別府」の展示物は、12/6(木)に撤去されるそうです。常設展示の噂もありますが、スカイミラーだけで7億円の価値があり、加えて常時見張りとして警備員を立たせていることなど維持費を考えると現実的ではないでしょう。もちろんわたしとしては残してほしいのですが。

 農業祭の客で展示会場があふれたり、様々なことがありましたが、ひとまずの「成功」といったところでしょうか。
 けれども、別府市民に尋ねると、今回の別府公園の展示があったことを知らない方が多く、また国民文化祭自体を知らない人がまだ多数派なのです。
 スカイミラーの常設展示の署名を集めるときにも、賛意を示したのはほとんど別府市外の方たちでした。これだけの成果をあげても、まだ別府市民とアートとの間には意識差がある、その事実は否めません。
 東京、大阪、福岡という都市圏からの来場者がどうしても多くなってしまう。このジレンマを解消できる日が果たして来るのか。
 国民文化祭で予算を使い果たした行政が、来年また魅力的なイベントを開催できるのか。
 正念場はこれからです。

※追記…今回の展示で最大の「失敗」は、アニッシュ・カプーア自身が来日しなかったことです。