2018年5月12日土曜日

情報を伝えることの難しさ、そして画の強さ

 書肆ゲンシシャには、去年別府で行われた「湯~園地」計画の、完成予想鳥瞰図があります。
 別府在住の画家である勝正光さんが描いたもので、その原画を購入し、展示しています。
 その絵を訪問されたお客様にお見せすると、
①この絵は見たことがあるものの何の絵かわからなかった、
②「湯~園地」は知っているものの別府で開催されていたことを知らなかった、
③「湯~園地」は知っていて別府で開催されていたことも知っているものの期間限定のイベントであることを知らなかった、
 と、この三パターンに分けられるのです。
 正確に、去年の7月末に別府で開催された「湯~園地」の完成予想鳥瞰図であることを言い当てることができた方はごくわずかでした。
 あれほどNHKをはじめ、全国放送のテレビ各局、ネット配信ニュースなど各種メディアで宣伝されたにもかかわらず、です。

 私はSNSを使っていて、かねてより情報を伝えることの難しさを感じています。
 ゲンシシャは別府市青山町にありますが、「青山」だけを切り取って、表参道にあるものと勘違いされた方や、別府が大分県ではなく大阪府にあると思われた方、いや、これは極端な例であるものの、定休日の存在など、周知させるのにかなりの労力を使っています。

 情報があふれる現代社会において、正確に記述していたとしても、正確に伝わるとは限らない、むしろ正しく伝達するというのは希望的観測に過ぎないことを、情報発信者は肝に銘じるべきです。

 「湯~園地」の話に戻ります。
 確かに、「湯~園地」計画について、正確な情報は伝わっていないけれども、この勝正光画伯が描いた絵に関しては、「見たことがある」と回答された方がほとんどなのです。
 文字を通した情報は伝わならなくても、画像は記憶に留めておけるのです。
 かねてより私が主張している「画の強さ」を補強する体験です。
 「画」には、言語の壁を越えて、より多くの人の心に影響を与える「強さ」があるのです。
 ゲンシシャが別府にあると知らない方だって、ゲンシシャがあげた画像は見たことがあるはずです。
 インスタグラムの普及を言うまでもなく、「画」の時代が訪れています。
 「画」を主軸にした情報の拡散。フェイスブックやツイッターも画像が添付された投稿が拡散されやすいことはすでに実証されています。
 ならば、その「画」の力をどう使っていくか。そこにこれからの時代を生き抜く秘訣があるはずです。