2018年3月30日金曜日

別府で古本屋を経営していて~買取編

 古本屋にとって、何より大事なのが在庫の管理です。
 在庫が尽きたとき、古本屋は閉店を余儀なくされます。
 一方で、古本屋を経営していく中で、問題になるのが、逆に在庫が増えすぎた場合の処理の仕方です。古本屋を経営していて、名前が知られていくと、買取希望のお客様が必然的に増えていきます。
 たとえば、ゲンシシャの場合。
 幻想文学や、純文学、漫画、哲学書、美術書、古写真、絵葉書を扱っているのですが、そもそも別府に古本屋の数が少ないとあって、専門以外の本が持ち込まれる場合が多々あります。
 お年寄りの方が、農業や漁業の専門書を買い取ってくれないか、と突然店に現れることもしょっちゅうです。
 査定はもちろんいたします。けれども、「日本の古本屋」や「オークファン」などでおよそ値が付いていないものがほとんどで、残念ですが、当店では買い取れません、とお引取り願うことになります。
 けれども、買取依頼のお客様は、当然、大きな重い荷物を持ってこられたわけですから、タダでいいから引き取ってくれ! といって帰られるのです。
 おそらくこうした本はブックオフでも買取を断られたのでしょう。定価一万円以上で購入された本が、どこの古本屋でも買い取ってもらえず、捨てられていくしかない姿を見るのは、本好きとしては、なんとも寂しいものがあります。
 タダで見放されていく本たち。それらをいかにして供養しようか。

 一方で、美術書や幻想文学といった関係の本については、大分ではなく、東京などの大都市で仕入れることになります。大分県内で出張買取に行った際に本棚を見させていただきますが、幻想文学などまずなくて、司馬遼太郎や東野圭吾の文庫本が高く積まれていることがほとんどです。
 その中からゲンシシャで売れそうな本を見つけていく作業、楽しくもあり、切なくもあります。
 そもそも大分では、ジュンク堂書店や紀伊國屋書店ですら、いわゆる売れ筋の本しか置いていなくて、当店で扱っているような本はアマゾンで購入せざるを得ないのです。住民の年齢層が高い大分では、そもそもネット通販という概念自体が根付いておらず、そうした本があるということを知り得る人間自体が本当に少ないのです。

 けれども、だからこそ、ゲンシシャが存在する意義があるのだと、考えています。
 ゲンシシャはバンド・デシネやアメコミも扱っています。これらは大分県内ではゲンシシャでしかじっくり読むことができません。有名作家の直筆原稿なども、都会の文学館に行かなければ見られない代物です。
 マイノリティの、マイノリティによる、マイノリティのための古書店。それがゲンシシャです。