2016年10月22日土曜日

移住の現実~別府の実情を鑑みて

 最近、私自身が地方にいるからか、移住の話をよく聞きます。
 東日本大震災、それに伴う原発事故の発生以降、西日本に移住する方が多いとは話に聞いていましたが、実際に住んでみると、たいへんな数です。

 別府は特に町の歴史が短いことから、また観光地であることから、移住者がとても多い。変な人が多いから浮かない、移住者が多いから浮かない、とまあそういった理由で全国各地から移住者が増えています。
 また、芸術祭「混浴温泉世界」が開催されたことから、アーティストの方の移住もとても多いのが特徴です。

 別府は家賃が安い。一戸建てでも月2万円ほどで借りられます。また、食事も美味しい魚が500円、ワンコインで思う存分味わえる。風呂がなくても100円で市営の温泉に入れるのだから、これほどローコストで生活できる町はないのではないでしょうか。
  その反面、生活保護者が多いのも特徴です。先日、別府市長が生活保護者のパチンコを規制したのが全国ニュースになりました。生活保護費も膨大になり、財政を圧迫しています。

 さて、暮らしやすい別府ですが、一方では移住者と地元民のあいだに層があって、その隙間が埋められないというのもまた事実です。
 公民館や、回覧板、町内会、そういった昭和の制度が色濃く残っている別府で、移住者はそこからはじき出されてしまいます。もちろん上手く溶け込む方もいらっしゃるのですが、そうではない方もいます。
 また、別府は歴史が短いとはいっても150年ほど続いているわけですから、美味しいところはみな昔からの住民が支配している。稼げる仕事を担当しているのは昔からの住民なのです。そこに入り込むのは容易なことではありません。

 中学や高校単位の同窓会といった地元民同士の結びつき、その輪の中に入るのは容易ではない。もちろんこれは別府に限ったことではないのですが。

 由々しき問題が、先の「混浴温泉世界」開催と共に別府に入ってきた移住者と地元民との関係です。地元民の多くは、よそ者が入ってきてなにやらガチャガチャやってる、ふうにしか思っておらず、そもそもそんな芸術祭の存在自体が認知されていない。
 ゆえに、そこに壁ができてしまう。「なに、現代アート? 私は受け付けない。理解できない。だから排除しよう」。そういった動きが、実際に行動に移さないまでも、あるのです。

 別府とひとことで言っても、駅前(駅より海側)と駅裏(駅より山側)とで態度がまったく異なるのも別府の面白いところです。
 駅前は昔遊郭などで儲けた、飲食業や水商売などの店が立ち並ぶエリア。対して、駅裏は昔の別荘地で、自分たちは文化人だと自負している方たちのエリアです。
 移住者が多く住んでいるのは駅前。また、生活にお金をかけても安上がりなのが駅前なのです。
 それに対して、駅裏は、いわゆる堅気の人間が暮らす、駅前の人々にとっては敷居が高いエリアです。
 「混浴温泉世界」のイベントの多くが駅前で開催されたことからも、駅裏が彼らが入りづらい雰囲気を醸し出していることはわかります。

 整理すると、別府には、   地元民・移住者
                   会社員・芸術家
                   駅前(飲食店・水商売)・駅裏(住宅街・勤め人)
 という対立構図ができています。
 二つの集団は一見交わっているように見えても、実際は溝を埋めきれていない。
 どこにいても派閥の形成とそれに伴う対立は起こり得るものですが、別府においてはそれが特に複雑化しているように思えます。多様性があるからこその複雑化、でもあるのですが。

 移住希望者の方に別府の現状をわかっていただくために書きました。
 参考になれば、と思います。